スキルエピソード4

組織を活性化させる手法

 私の以前の上長(私の直属の上司で、地区長という職位の方)の話です。

 私が所属する会社は、店舗が10店舗くらい集まって1つの地区を形成します。その時の地区は13店舗ありましたから、店長13名、料理長13名、地区長1人で店舗責任者は全員で27名でした。また毎年人事異動があり、移動のために社員が大きく入れ替わるので、新しい地区になったばかりの時は、いつもまとまりがないというのが普通でした。

 ところがこの上司の方と一緒に仕事をしていくうち、具体的には月一回の店長料理長会議や、週に2~3回の地区長の訪店などを通じて、コミニケーションを取り、お店の目標に対してのPDCAを回していくのですが、3ヶ月も過ぎると地区がまとまってきており、半年もすると、全店が1つの目標に対して動き出していました。

 この方の仕事の進め方は、店長・料理長に対して、各自のスキルアップのための指導教育は常にされていましたが、他の地区長の方と異なるところは、全店長・料理長に、地区内の役割を与えていたのです。例えば、会議の司会担当、会議場や研修会場の手配や設定担当、地区内のクルーさんのスキルアップ研修担当、または宴会部長などなど、新任店長料理長に対しても、〇〇担当の補佐と言うように、まだ知識がなくても大丈夫なように振り分けていました。またその振り分け方も絶妙で、店長・料理長の得意とする分野での担当に就かせていくのです。

 店長・料理長は皆、自分の得意分野の担当になりましたので、当然ながら仕事が楽しくなりますから、いちいち指示を受けなくても勝手に動き出します。今思えば、うまく手のひらで泳がされていた?のだと思います(良い意味でですよ!)。

 半年もすると、1ヵ月に1度の店長料理長会議が楽しく、待ち遠しくなっていました。今までのような、業績を詰める会議ではなく、成果を発表する会議となっていたからです。

 全店長・料理長は、仕事の充実感、目標に対しての達成感、そして自己肯定感を感じていたからだと思います。全員の表情がとても明るく、全社で22~23地区あったと思いますが、その中でも1番活性化していた地区ではなかったかと思います。

 あと1つだけ付け加えさせていただくと、この私の上司の方は、私より年下で女性でした。何を言いたいかと言うと、能力のある方が、その職位に付き職責を果たしていけばいい、年齢も性別も関係ないということなのです。年功序列で昇進した上司、どこかの総理大臣が言った、女性活躍〇〇で、能力もないのに上司になってしまった女性の部下は、本当に苦労します。

 まさしく「上司ファジー(Fuzzy)で部下ビージー(Busy)」です。

 リーダーには、いろいろな能力や手法が必要だと思いますが、これはお店でも当然使えます。

 私の一押しの手法です。ぜひ試してみてください。