スキルエピソード6

コミュニケーションの深め方②

 店長という立場が、コミュニケーションを妨げることがあります。ベテラン店長ほど「私の言う事は正しい」、「自分がルール」のように、責任者を前面に出しながら話をしてしまい、One Wayになってしまっては、意思の疎通は期待できません。

 ではどのようにすれば良いかと言うと、責任者ほど、「どのようなことにも身を低く」との覚悟を持つこと。これはいわば自分との戦いでもあります。具体的には責任者であることを、一旦横に置く必要があります。心をフラットにすると言うことです。言い換えれば、答えを持たないで、相手の話を聞いていくと言うことです。例えば、いきなり「〇〇すべき」、「〇〇しなくてはならない」といった指導をしてしまったらどうでしょうか。相手は心を閉ざしてしまい、コミュニケーションを妨げることになります。店長は、「こうあるべき」、「こうするのが当たり前」と言う考えや価値観があったとしても、それらを一旦保留にし、相手の話を傾聴します。これは人間の精神作用としては、とても難しいのですが、クルーさんが常識外れのことを言ったとしても、自分の意見をひとまず横に置いて、「なるほど、あなたはそのように考えているのですね」と言うように、しなやかな受け止め方を心がけるのです。店長の価値基準で頭ごなしに否定し、「いや、あなたはそう言うけどね」と切り返せば、意味のない論争に発展してしまう恐れがあります。

 しかしながら、まずは「自分はどう考えるか」と言う意見も持っていることが前提です。傾聴するとは言え、相手の主張にただ流されるようになってしまっては、コミュニケーションとは言えません。つまり自分の主義主張は持っているが、必ずしも相手に同意を求めないことです。自分の考えがあっても、クルーさんはクルーさんで、また違う考えがあることが当然なんだと、フラットな姿勢でいることが、コミニケーションの前提になります。

 お互いにどれだけ腹を割って話をすることができたかで、その後の展開が大きく変わっていきます。