トレーニング・オペレーション10

ルールは絶対に妥協しない

 飲食店によくありがちなクルーさんにこういう人がいます。フリーターで出勤日も勤務する時間帯も店長にお任せになっているので、店長がワークスケジュールを作成するには、すこぶる勝手が良い。この方のおかげで、かゆいところに手が届くようにワークスケジュールを作ることができる。しかし、いかんせんモラルが低い。例えば、男子従業員の身だしなみは飲食店ですから、髭・爪・頭髪はきちっとしていなければいけません。しかしこういう方に限ってヒゲは剃ってない、爪の中が黒い、頭髪はボサボサが多いです。また得てして他のクルーさんに対して、横柄な態度を取る方も多いです。

 しかし店長もモラルが低い、ハウスウールに反しているとは分かっていても指導できずにいます。それは何故かと言うと、もうお分かりの通り、この方がいなくなるとお店が回らなくなるからです。しかしこれを放置したままにするとどうなるでしょうか。間違いなくお店のモラルとスタンダードは下がり続けます。

 あるお店にこのようにモラルが低い方がいらっしゃいました。しかし例に漏れず、店長はそれを注意できません。そのような中新人を採用することができたので、店長は一生懸命教育しています。当然身だしなみについてもきちっと教育しています。その新人クルーさんもモチベーション高く、やる気満々に毎回勤務しており、店長から教えてもらったルールを守ることも、当然徹底しています。爪を切ってからシフトインする位の徹底ぶりです。

 しかしある時フッとキッチンを見ると髪が長く、無精ひげを生やしたクルーさんが勤務していることに気がついてしまいます。店長にそのクルーさんの身だしなみについて聞いてみると、「あの人が辞めるとキッチンが回らなくなるからしょうがないんだよ」と言う答えでした。その新人のクルーさんは、お店の都合もあるし、また人それぞれだから仕方ないと割り切って考えるようにしていましたが、どうしても納得がいかず結局退社してしまいました。店長がルールの徹底を怠ったことにより、結果としてモラル・モチベーションの高い方が退職し、モラルの低い方がお店に残ると言うことになりました。モラルの高い方はモラルが低いことに嫌悪感を抱きます。モチベーションの高い方はそのモチベーションを維持できる空間にいたいと考えます。

 この店長はルールの徹底を怠ったがために、妥協したがために、お店の成長も止めてしまいました。いや後退させたかもしれません。

 「類は友を呼ぶ」と言いますが、お店の従業員もまさしくこの通りです

 従業員のレベル=お店のレベル、これを絶対に忘れてはいけません。