トレーニング・オペレーション3

組織作り

 お店を経営するということは、何十人もの部下を持つことになります。部下が5~6人の小さなお店でしたら、組織は必要ないかもしれません。しかし部下が15人20人と増えたときには、店長1人でマネジメントしていくことはできなくなります。どのような組織でも、例えば警察でも軍隊でも最小単位は10名位と決まっています。常に教育が行われていて、目標に向かっているお店でなければ、持続的成長は望めません。全従業員をこのような状態にすることを目的として組織を作っていくのです。

 では初めに、組織のないお店は、店長がいてその下に横一線に部下が並んでいるような状態です。

       店長

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部下  部下  部下  部下  部下  部下  部下

 このような状態のお店ですと、営業はもちろんのことトレーニング、現金管理、苦情対応などほとんどすべてのことを、店長が対応しなければならなくなります。またクルーさんはワーカーとして、オーダーを取り料理を運ぶだけが仕事になっています。これでは店長はマネジメントする時間もあまり取れませんから、お店のレベルはなかなか上がっていきません。

 ではどのようにして組織を作っていくのか。ファミレスの組織を作るにあたり、必要な職種が2つあります。1つ目は店長の代行を行う時間帯責任者、いわゆるシフトリーダーです。もう一つはトレーニングのスペシャリストであるトレーナーです。ただし同じ人が両方できなければいけないと言う事はありません。片方だけでも良いのです。例えば、一人前の接客員を育成することができるトレーナーの方でも、現金管理はできないので時間帯責任者はできない、これでも可です。

 まず時間帯責任者ですが、私の作るお店は店長代行ができるシフトリーダーを最低7人、ランチタイム2名、ディナータイム2名、ナイトタイム3名を常に維持しています。併せてリーダーの能力を3段階に分け、平日ディナータイムの責任者ができる初級リーダー、平日ランチタイムの責任者ができる中級リーダー、土・日曜日の最大ピークの責任者ができる上級リーダーを認定し、それぞれのレベルに応じて配置しています。この区分はサービスオペレーション、特にシフトリーディングのレベルによるものです。そしてこの時間帯責任者だけで、1週間を通して店長なしで、シフトリーダーのスケジュールを作成できるようにしています。

 次にトレーナーです。自分のお店を作りたかったら、自分の分身を育成することです。店長はトレーナー候補者に、トレーニング手法や出来栄えなど、細部にわたり妥協せずによく教えてください。言い方はあまり良くありませんが、自分のコピーを作ってしまうのです。そしてこの育成したトレーナーさんと店長とで、また新しい人を教育していく。このように教育を進めていけば、1年後には自分のレプリカのようなトレーナーが3~4人は稼働していると思います。この状態にすることができれば、店長はシフトリーダーをするのではなく、シフトリーダーを育成する人、トレーナーをする人ではなく、トレーナーを育成する人になっています。このように時間帯責任者とトレーナーの育成により、店舗組織を構築していきます。併せて各職種の役割と責任範囲を明確にして、各自が取り組む内容や目標を明確にしていくことで、各クルーさんが何をすれば良いのかをはっきりさせていくことでより組織が活性化し、店長は店長がやるべき業務に集中できるようになり、店舗も成長させることができるようになります。