トレーニング・オペレーション4

マズローの5段階欲求から見た店舗目標

 目標設定の重要性や目標設定の基本原則SMARTの法則等の説明ではなく、マズローの5段階欲求から見た店舗目標について考えてみたいと思います。これを用いることで、お店に不足していることが明確になる場合が多いからです。

 マズローの5段階欲求とは図のように生理的欲求、安全と安定の欲求、所属と愛の欲求、自尊と承認の欲求、自己実現の欲求の5段階に分けることができ、それぞれの欲求が積み重なって1つのピラミッドを構成しています。基本的には最下層の生理的欲求から1段ずつ欲求を満たしていくことで、最終的には最高位の自己実現欲求に向かっていくと言う理論です。

   マズローの5段階欲求

 これを飲食店バージョンに置き換えてみるとこのようになると思います。

 

 店舗目標を立てる時に、我が店のクルーさん達はどこまで充足されているのか、言い換えると何を欲しているのかを考えてみることもとても大切だと思います。

 例えば、本当は5名でオペレーションしたいと言う場面において、人員不足で4名しか組めない日があるとしたら、クルーさんにとっては、第二段階の安全と安定の欲求の部分を求めているのではないかと考え、常に5名でオペレーションできるよう採用教育を行うことが必要です。また、一生懸命勤務してるのになぜか周りの方から浮いているようなクルーさんがいたら、店長はその方が皆さんとうまく溶け込めるよう、一緒に取り組んでいくことも必要だと思います。

 お店の目標と言うのは、お客様や会社にとっての目標が多いですが、従業員にとっての目標も共に大切です。むしろこちらの方が大きいかもしれません。例えば今月の目標が「売り上げ前年比110%達成」ということであれば、もう1つの目標は「人員不足解消のための採用3名」となります。クルーさんに売り上げを取れとはっぱをかけても、クルーさんが望んでいることをして差し上げなければ、積極的に目標達成を目指してくれるかは疑問です。

 店長は店舗目標である「売り上げ前年比110%」を目標として、これを掲示して全員と共有していきますが、2番目のクルーさんが望んでいる「人員不足解消のための採用3名」も第2の目標としていくのがよいと思います。これは掲示しなくても構いませんが、その5名が必要なところを4名でやってしまっている、いわゆる該当する時間帯のクルーさんには、この目標のことを伝え共有していくようにしてください。そうすることでお店が1つになっていきます。

 今クルーさんが欲していることをせずに目標だけ立てても、クルーさんはその目標を他人事として捉えてしまい、取り組んでいただけない場合が多いと思います。